ジャぱん プロローグ
はじめまして。サンライズ制作進行のS木です。
食欲の秋!! そんな心躍る季節にテレビアニメ「焼きたて!!ジャぱん」の放送がはじまります。パンというとても身近な題材で、どんなエンターテイメントになるのか今から楽しみであります!!
このコーナーではアニメ「焼きたて!!ジャぱん」に関係あったり、なかったり・・・いろんなことを(なるべく面白く読みやすく)語っていきたいと思います。皆さんパンでも食べながら気軽に読んでくださいな。

第1回  怪現象!?
私に上司からある指令が下った。
つい5分前に会議室に制作スタッフが集められ、プロデューサーから、「焼きたて!!ジャぱん」のテレビアニメの制作決定を告げられたばかりの時だった。
私に下った指令とは、制作に必要な原作コミックの大量準備である。
「原作コミック全巻何セットか買って来て」
子供の頃からの貧乏性で普段から倹約に努めている自分に、同じコミック全巻を何セットも買うという、そんな金持ちにしかできないような買い方を要求されるなんて・・・。
何だか興奮しちゃいます!
スーパー大人買いって感じじゃないですか。
(大人買い=子供の頃おまけ付きのお菓子などをお金がなくて1個ずつしか買えなかったのを大人になりお金ができてまとめて何個も買うこと)
全巻まとめて1セット買う人はいるとは思うけど、何セットもですよ。
ちょっぴり心臓をばくばくさせながら、とりあえず会社に一番近い本屋さんに行ってみる。
しかし、残念なことに最新刊しか置いてない。
そこで、車を走らせ少し離れた街道沿いの大きな本屋さんへ。

大きな本屋さんの自動扉が開くと空調の効いた店内の空気が、興奮して火照った体をひんやりとさせる。
私はコミックコーナーへとなぜだか上品な姿勢を意識しながら歩いていく。
コミックコーナーにはちょうど品出しをしている店員さんがいた。
サンデーコミックスの棚を目で探し、「ジャぱん」が1セット陳列してあるのを確認、店員さんに訊ねる。
「ジャぱんはここに出ているだけですか?」
すると店員さん
「こちらにも在庫ありますけど」
店員さんが本棚の下の引き出しを開けると、そこにも「ジャぱん」が10冊ぐらいある。
「この店のジャぱん全部ください」
店員さんが少し固まったような気がした。
一瞬の後、店員さんが私の手に「ジャぱん」のコミックを積んでいく。
今まで味わったことがないようなずっしり感を手にしながらレジへと歩いていく私。
バサバサバサバサ!?
大人買い初心者の私は、レジに行く途中でバランスを崩し床に「ジャぱん」をばら撒いてしまう。あわわわわ!!
店内の人の視線が私に集まる。は、恥ずかしい!! 慣れないことはするもんじゃない。
ていうか店員さん運ぶの手伝っておくれ・・・。

ぜぇぜぇ。
レジについた私はちょっと息切れ赤い顔。大人買い手強し。
そんな私を横目に機械的にレジ打ちする店員さん。
サンライズで領収書を切り、こんな買い方して公式発表前にアニメ化バレないか、いらぬ不安を抱きつつ店を後にした。
しかし、まだ、私の戦いは終わらない!! こんな数じゃ原作コミック足りません!!
アニメスタッフで原作コミックが必要な人いっぱいいるし。
私は知る限りの近くの本屋を訪れ、「焼きたて!!ジャぱん」のコミックを買い占めて行った。
その日、東京都練馬区上石神井近辺の本屋に「焼きたて!!ジャぱん」のコミックが品薄状態になるという怪現象が起きたことを知る人は少ない。
いや、気付いた人いるのだろうか。

後日、小学館さんから今まで見たこともないような数の「焼きたて!!ジャぱん」原作コミックが届くのだった。

つづく・・・かも。






もどる